OFFICE CHOICEオフィスの選びかた

法人向けセキュリティソフトの契約、総務が更新前に確かめるライセンスと解約

2026-09-26 情報セキュリティ継続契約ライセンス管理更新・解約稟議

この記事で紹介しているのは、申し込む形のサービスです。現在、アフィリエイトの提携はありません。

この記事を読み終えると、セキュリティソフトの更新案内が来たときに「何台分を、どの契約で、誰が運用するか」を自分で決められる状態になります。値段の比較は最後で構いません。先に決めるのは、ライセンスの数え方と、やめるとき・減らすときの条件です。ここを曖昧にしたまま複数年契約に入ると、使っていない台数に払い続けることになりがちです。

更新案内が届いてから考え始めると、選ぶ時間がない

法人向けセキュリティソフト(パソコンやスマホをウイルスや不正アクセスから守るソフト)は、ほとんどが1年単位の契約です。期限が近づくと販売店やメーカーから更新案内が届きます。ここで初めて検討を始めると、比較する時間がないまま同じ内容で更新することになりがちです。

困るのは、期限切れのリスクがあることです。ライセンスが切れると、多くの製品で定義ファイル(新しいウイルスを見分けるためのデータ)の更新が止まります。ソフトは入っているのに守られていない状態が、気づかないまま続くことがあります。

動き出す目安は、期限のおおよそ2〜3か月前です。やることは次の3つだけです。

  • いま何台に入っているかを数える
  • 契約書と見積書で、更新のしかたと解約の条件を読む
  • 検知が出たとき誰が対応するかを決める

この3つが決まっていれば、他社の見積もりを取っても比較がぶれません。逆に、台数があやふやなまま相見積もりを取ると、条件の違う金額が並ぶだけで判断できなくなります。

ライセンスの数え方で、見積もりの金額は変わる

同じ「50ライセンス」でも、数え方は製品によって違います。ここを揃えないと比較になりません。確かめるのは次の点です。

  • デバイス単位か、ユーザー単位か。デバイス単位は端末1台ごとに1ライセンスです。ユーザー単位は、1人がパソコンとスマホを持っていても1ライセンスで済む形があります。
  • サーバーは別カウントか。ファイルサーバーやNAS(社内でファイルを共有する機械)は、パソコン用とは別の製品・別料金になることがあります。
  • スマートフォンやタブレットが対象に入るか。業務でスマホを使うなら、ここを含めるかで台数が変わります。
  • Macや、まだ残っている古いOSに対応しているか。

台数の棚卸しは、資産台帳ではなく管理画面(管理コンソール)の一覧で数えるほうが実態に近くなります。台帳には載っているのに退職者の返却端末で電源が入っていない、逆に台帳にない貸出機が入っている、というズレはよく起きます。

また、増員したときの追加は年度の途中でもできるのか、その分の料金は日割りか年額かも聞いておきます。人が増える会社ほど、ここが効いてきます。

自動更新と中途解約 ─ 減らしても戻らないことがある

継続契約は、入るときより、やめるとき・減らすときに詰まります。セキュリティソフトも同じです。

見落とされやすいのは、年度の途中で台数を減らしても返金されない形が多いことです。退職が続いて実際の利用が減っても、契約した本数分は期間満了まで支払う、という条件になっているケースがあります。減らせるのは次の更新のタイミングだけ、ということも珍しくありません。

複数年契約は、単年より1台あたりが安くなることがあります。ただし、人数が読めない会社が長期で多めに契約すると、余ったライセンスを抱えたまま数年進むことになります。人員計画がはっきりしないうちは、長期割引に飛びつかないほうが無難です。

契約前に文面で確かめるのは次の点です。

  • 自動更新かどうか。自動更新なら、停止の申し出はいつまでか
  • 中途解約ができるか。できる場合、未使用分の扱いはどうなるか
  • 台数の減数は更新時のみか、期中でも可能か
  • 更新時の価格改定(値上げ)の通知は、いつ届くか

「言えば下げてくれるだろう」という期待では稟議は通りません。条件は書面で確認します。

退職者の端末と管理画面 ─ 使っていないライセンスが眠る

人の出入りがある会社で必ず起きるのが、ライセンスの取り残しです。退職者が使っていたパソコンをそのまま倉庫に置き、管理画面から削除していないと、そのライセンスは埋まったままになります。新しい人の端末を追加しようとして「上限です」と言われ、慌てて買い足す、という流れがよくあります。

退職時の手順に、次を足しておくと防げます。

  • 端末を回収したら、管理画面から該当端末を削除する(ライセンスを空ける)
  • 端末を再利用するなら、初期化してから登録し直す
  • 持ち込み端末(私物)に入れていた場合は、アンインストールを本人に依頼し、完了を確認する

私物の扱いは特に揉めやすい部分です。会社が費用を出したソフトを私物パソコンに入れていると、退職後に「消してください」と言いにくくなります。そもそも私物に入れさせるのか、入れるなら退職時にどうするのかを、貸与規程や誓約書の側で決めておくほうが早いです。

管理画面の担当者アカウントも同じです。IT担当が一人で握っていると、その人が辞めた瞬間に誰も設定を変えられなくなります。管理者は必ず2人以上にしておきます。

検知が出たあと、誰が動くのかを契約前に決める

見落とされやすいのが、「入れたあと」の話です。セキュリティソフトは、怪しい動きを見つけるとアラート(警告)を出します。問題は、それを誰が見て、誰が判断するかです。

多くの標準的な契約に含まれるのは、検知して止めるところまでです。検知後の調査や、感染した端末の切り離し、原因の特定までを人が代行するサービスは、別契約・別料金になっていることが一般的です。見積書に「EDR」「MDR」「運用監視」といった言葉があれば、その範囲を必ず聞きます(EDRは端末の挙動を記録して不審な動きを追える仕組み、MDRはその監視と対応を外部が担うサービスを指すことが多い言葉です)。

総務が兼任で回すなら、現実的な線引きはこうなります。

  • 平日の日中、管理画面のアラートを誰が確認するか
  • 夜間や休日に検知が出たら、翌営業日の対応でよいのか
  • 重大な検知が出たとき、最初に連絡する先(販売店・保守窓口・顧問のIT会社)を決めておく

「入れたから大丈夫」ではなく「出たらこう動く」まで書いて初めて、社内で説明できる状態になります。逆に、社内で見る人が誰もいないなら、監視付きのサービスを選ぶか、外部のIT会社に見てもらう契約を足すかの判断になります。

乗り換えるときに詰まるのは、旧製品のアンインストール

他社製品に切り替えるとき、一番手間がかかるのは新しいソフトを入れる作業ではありません。古いソフトをきれいに消す作業です。

セキュリティソフトは同じ端末に2つ入っていると競合し、動作が重くなったり、どちらも正常に動かなくなったりすることがあります。通常のアンインストールで残骸が残り、専用の削除ツールが必要になる製品もあります。台数が多いほど、この作業が効いてきます。

切り替えの段取りは次のように組みます。

  • 旧契約の残り期間を確認し、期限切れの空白が出ない日程にする
  • 一部の端末(数台)で先に入れ替えて、業務アプリが正常に動くか確かめる
  • 社内システムや会計ソフトが、新しいソフトにブロックされないかを見る
  • 全台の入れ替えは、業務の谷間にまとめて行う

現場からは「パソコンが重くなった」という声が必ず出ます。原因がソフトかどうかは、実は切り分けが難しい部分です。導入前の体感を覚えている人はいないので、事前に数台で試した結果を残しておくと、後の説明が楽になります。

古い契約が自動更新になっていないかも、乗り換え前に確認します。二重に払っていた、という事故はここで起きます。

稟議は「守り」より「取引先から求められる」で通しやすい

セキュリティ費用の稟議は、効果が数字で見えないため止まりがちです。「何も起きていないのに、なぜ増額するのか」と聞かれます。

通しやすいのは、外からの要請を根拠にする形です。よくあるのは次のようなものです。

  • 取引先から届くセキュリティチェックシート(調査票)。対策ソフトの導入状況や管理体制を記入させる欄があり、空欄だと取引の条件に関わることがあります。
  • 入札や大手との取引で求められる、情報セキュリティ基本方針の提出
  • サイバー保険に入るとき、加入の条件や保険料の判断材料として対策状況を聞かれること

これらは「うちの都合」ではなく「相手の求め」なので、決裁者に説明しやすくなります。実際に届いた調査票のコピーを稟議に添えるだけで、話が早くなることがあります。

金額の見せ方も工夫します。総額ではなく「1台あたり年額いくら」「1人あたり月いくら」に割り戻すと、判断しやすくなります。同時に、更新月・契約本数・解約予告の期限を一覧にした表を1枚付けておくと、翌年以降の担当者も助かります。

まずやることは、管理画面を開いて実際の台数を数えることです。そこから、この記事の順番どおりに条件を埋めていけば、更新案内が来る前に判断が終わります。

買う前に確かめること

  • 管理画面を開き、実際に稼働している台数を数えたか(台帳の数と照合する)
  • ライセンスがデバイス単位かユーザー単位か、サーバーは別カウントかを確認したか
  • 自動更新の有無と、停止を申し出る期限を契約書で確かめたか
  • 年度途中で台数を減らせるか、減らした分の返金があるかを聞いたか
  • 検知のアラートを誰が確認し、休日に出たらどうするかを決めたか
  • 乗り換える場合、旧製品の削除手順と期限切れの空白が出ない日程を組んだか

候補になる分類

クラウド管理画面つきの法人向けエンドポイント対策(台数管理ができるもの)

目安:1台あたり年額 おおよそ3,000〜8,000円程度

数十台規模で、誰がどの端末に入れているかを一覧で把握したい会社に向きます。個人向けを人数分買う運用に比べ、退職時のライセンス回収や更新月の管理がしやすくなります。管理者アカウントを複数持てるかを確認してください。

これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。

検知後の監視・対応までを外部が担う運用支援つきサービス(EDR/MDRと呼ばれるもの)

目安:1台あたり月額 おおよそ1,000〜3,000円程度

社内にIT担当がおらず、アラートを見る人がいない会社向けです。費用は上がりますが、夜間や休日に検知が出たときの初動を外部に任せられます。対応の範囲と連絡方法を契約書で確かめてください。

これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。

グループウェアや業務ソフトの上位プランに含まれるセキュリティ機能

目安:1人あたり月額 おおよそ1,000〜3,000円程度

すでにクラウドのメール・グループウェアを使っている会社は、上位プランに切り替えるだけで端末管理やメール対策がまとまることがあります。ただし対象範囲が限られる場合があるため、別途の対策が要るかを確認してください。

これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。

よくある質問

無料のウイルス対策では足りないのでしょうか

個人で使う分には成り立ちますが、会社では「誰の端末に入っているか」を一覧で確認できないことが問題になります。取引先の調査票で導入状況や管理体制を問われたとき、答えられない状態になりがちです。管理画面で台数と状態を把握できるかが、法人向けを選ぶ主な理由です。

スマートフォンにも入れる必要がありますか

業務のメールやファイルをスマホで見るなら、検討の対象に入ります。ただし対策ソフトを入れるより、紛失時に遠隔でデータを消せる仕組みや、画面ロックの強制のほうが効く場合もあります。何を守りたいのかを先に決めてから、必要な機能を選ぶ順番が現実的です。

更新月をうっかり過ぎてしまいそうです

契約本数・更新月・解約予告の期限を1枚の表にして、共有のカレンダーに期限の2〜3か月前で登録しておくと防げます。自動更新の契約は、止めたいときの申し出期限が別に決まっていることが多いので、そちらも同じ表に入れておきます。担当者が替わっても引き継げる形にしておくことが大切です。

← 記事の一覧にもどる