名刺の発注と名刺管理サービス、総務が契約前に確かめる退職者データと刷り直し
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この記事を読むと、名刺まわりで決めることが三つに絞れます。1人あたり何枚ずつ発注するか、発注の窓口を誰にするか、受け取った名刺のデータを会社の資産として残すか個人に任せるか、です。名刺は一枚あたりが安いので軽く決まりがちですが、住所が変われば在庫は全部ごみになり、名刺管理サービスは年単位の継続契約になります。やめるときに困らない形で入るための確かめ方を書きます。
名刺は「刷る契約」と「貯める契約」に分かれる
名刺の話で見積りを取ると、性質の違う二つが並んで出てきます。
- 自社の名刺を印刷する発注。基本は都度の買いもので、納品が終われば関係が切れます。
- 受け取った名刺をデータ化して社内で共有するサービス。多くはID単位の月額で、年単位の自動更新になっていることがあります。
この二つを一つの稟議にまとめると、判断がぼやけます。前者で見るのは単価と納期と版(デザインデータ)の管理、後者で見るのは解約条件とデータの持ち出しです。見るところがまるで違います。
順番としては、先に発注の仕組みを整えるほうが詰まりにくいです。名刺管理サービスは「導入したが誰も取り込まない」状態になりやすく、運用する人が決まっていないと費用だけが残ります。発注は毎月必ず発生する作業なので、効果が読みやすいのです。
稟議書では「名刺印刷の発注ルール整備」と「名刺情報の社内共有」を別の項目として書くと、後から片方だけ止める判断もできます。一本にまとめてしまうと、使われていないほうを切るときに全部やり直しになります。
1人500枚の割引に乗ると、住所変更で一斉に無駄になる
名刺の単価は枚数が増えるほど下がるので、発注先からは「まとめて刷ったほうが安い」と案内されます。ただし名刺は在庫として置いておけるものではありません。次のどれかが起きた時点で、刷ってある分は使えなくなります。
- オフィスの移転や住所表記の変更
- 電話番号やFAX番号の変更、固定電話の廃止
- ロゴやコーポレートカラーの変更
- 部署名や役職名の変更、組織改編
- 記載している登録番号や資格表示の追加・修正
ですから発注ロットは、割引率ではなく「次に表記が変わりそうな時期までに使い切れる量」で決めるのが無難です。営業職と内勤では消費量がまったく違うので、職種ごとに分けて考えます。内勤で年に数十枚しか使わない人に数百枚を渡すと、ほぼ全部が処分対象になります。
確かめるのは次の点です。移転や事務所の増設の予定はいつか、組織改編は何月か、ロゴの見直し計画はないか。総務だけでは分からないので、経営側と一度すり合わせておきます。余った名刺は個人情報が載った紙なので、そのまま可燃ごみには出せません。処分の手間まで込みで量を決めます。
発注窓口を決めないと、版と経費が社内に散る
各自が好きな印刷通販で発注できる状態にしておくと、だいたい次のことが起きます。
- デザインデータが個人のパソコンに散り、退職と同時に行方が分からなくなる
- 古いロゴや旧住所のままのデータが使い回される
- 書体や余白が人によって違い、並べると別会社のように見える
- 立替精算が個別に上がってきて、年間の名刺費用が誰にも分からない
避けるには、発注の入口を一つにします。方法は二つあり、総務が全件を取りまとめて発注するか、社内の誰でも発注できるが版は管理者が固定し請求は会社宛に一本化する形にするかです。後者を選ぶなら、申し込み時に「テンプレートを管理者だけが編集できるか」「発注履歴を管理者が一覧で見られるか」を確かめます。ここが開いていると一本化の意味がありません。
納期も実務で詰まる点です。入社日に名刺が間に合わないのはよくある話で、原因は氏名の表記や携帯番号が決まるのが遅いことにあります。入社手続きのどの時点で名刺の内容を確定させるか、社内の流れに組み込んでおきます。旧姓を使う場合の扱い、ふりがなや英語面を入れるかどうかも、人ごとに相談されると毎回止まります。先に決めて文書にしておくほうが早いです。
名刺管理サービスはID課金、使う人の数で決める
クラウドの名刺管理は、多くがID単位の月額です。1IDあたり月数百円から千数百円程度が目安になりますが、取り込みの精度を人の手で補う機能が付くと上がります。ここで費用が膨らむ典型は、全社員にIDを配ってしまうことです。
名刺を日常的に受け取るのは、営業や採用、展示会に出る人に偏ります。経理や製造の担当者は年に数枚かもしれません。まず社内で、月に何枚の名刺が入ってくるかをざっと数えてみます。数えると、必要なIDが想像よりずっと少ないことが分かる場合があります。
契約前に確かめるのは次の点です。
- 最低契約ID数があるか
- 年度の途中でID数を減らせるか、減らせるのは更新時だけか
- 増やすときの単価は同じか
- 取り込み方法は何か(スマホ撮影、据え置き型の読み取り機器、紙の束を送る代行)
- 読み取った内容の確認は自動だけか、人の手による補正が含まれるか
既に溜まっている紙の名刺を一括でデータ化する場合は、1枚あたり数十円程度の代行費用が別にかかることがあります。初期費用として稟議に入れておかないと、導入後に追加申請が必要になります。
やめるときに出てくるデータと、出てこないデータ
継続契約は、入るときより解約するときに詰まります。名刺管理サービスで確かめるのは「何が持ち出せるか」です。
書き出せるのが氏名・会社名・連絡先だけ、というケースがあります。実務で価値があるのは、そこに足した情報のほうです。
- 名刺の画像そのもの
- 担当者に付けたタグや分類
- 商談メモや接触履歴
- 同じ人物の名刺を複数枚まとめた紐付け(転職・異動の履歴)
- 誰がその名刺を受け取ったかという社内の持ち主情報
これらが書き出せる形式に含まれるか、申し込み前に聞きます。できれば試用期間中に、実際に書き出して中身を開いてみるのが確実です。「エクスポートできます」という回答と、必要な項目が揃っていることは別の話です。
あわせて、解約予告の期間、自動更新の有無と更新を止める方法、解約後にサーバー上のデータがいつ消えるか、削除した記録を書面でもらえるかを確かめます。営業支援の仕組みと連携させている場合は、連携を切ったときに向こう側のデータがどうなるかも確認が必要です。片側だけ消えると、名寄せが崩れて使えなくなります。
名刺は個人情報、退職と処分のルールを先に決める
受け取った名刺に載っているのは、他社の人の個人情報です。会社として扱うなら、置き場所とルールが必要になります。
よくあるのは、社員が個人で契約した名刺アプリに取り込んでいる状態です。この場合、会社の取引先情報が個人の持ち物の中にあることになり、退職時に一緒に出ていきます。逆に、会社として共有していれば、担当者が辞めても引き継げます。どちらにするかは方針の問題ですが、決めずに放置すると前者になります。
決めておくことは次のとおりです。
- 名刺情報を会社の資産として扱うか、担当者個人に任せるか
- 共有範囲は全社か、部署内か、本人だけか
- 退職時にIDを止める手順と、その人が持ち主になっているデータの引き継ぎ先
- 先方から削除や修正を求められたときの受け付け窓口
- 紙の名刺と、刷り直して余った自社名刺の処分方法
処分は見落としやすい点です。退職者の名刺や旧住所の名刺は、個人情報が印字された紙です。裁断するか、まとめて溶解処理を頼むか、社内のどちらにするか決めておきます。段ボールに溜めたまま数年置かれている、という状態が一番よくありません。
で、どう進めるか ─ 稟議の組み立てと最初の一か月
順番はこうなります。
1. 年間の名刺印刷枚数と費用を集計します。立替精算に紛れている分も拾うと、実額が見えます。2. 表記が変わる予定(移転・組織改編・番号変更)を確認し、1人あたりの発注ロットを職種別に決めます。3. 発注の窓口と版の管理者を一人決めます。入社手続きのどの時点で名刺内容を確定させるかも、ここで文書にします。4. 受け取った名刺を会社で共有するかを方針として決めます。共有するなら、月に名刺を受け取る人の数を数え、その人数分だけIDを見積ります。5. 名刺管理サービスは試用から入り、期間中に書き出しを試します。出てきたファイルの項目を見て、足りなければ契約しない判断もできます。
稟議では、印刷費の削減額だけを根拠にすると金額が小さく見えます。むしろ「退職時に取引先情報が持ち出される状態を、会社として整える」という整備の話として書くほうが通りやすい傾向があります。あわせて、解約予告の期間と書き出せる項目を稟議書に明記しておくと、数年後に見直す人が助かります。契約書を読み返さずに判断できる状態にしておくことが、次の担当者への引き継ぎになります。
買う前に確かめること
- 移転・組織改編・番号変更の予定を確認し、1人あたりの発注枚数を職種別に決めた
- 名刺のデザインデータの管理者と、発注の入口を一人に決めた
- 名刺管理サービスの最低ID数と、年度途中でID数を減らせるかを確認した
- 解約時に書き出せる項目(名刺画像・メモ・タグ・持ち主情報)を試用中に実際に確かめた
- 退職時のID停止手順と、その人が持ち主のデータの引き継ぎ先を決めた
- 刷り直しで余った名刺と退職者の名刺の処分方法を決め、溜めっぱなしにしない体制にした
候補になる分類
法人向け名刺印刷の発注窓口(テンプレートを管理者だけが編集でき、請求を会社宛に一本化できるもの)
目安:1人100枚でおおよそ1,000〜3,000円程度(紙質・加工・納期で変わります)
各自がばらばらに発注していて、版の管理も費用の把握もできていない会社に向きます。人数が増えてきて入社時の名刺手配が毎回止まる段階で、効果が出やすい整え方です。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
クラウド名刺管理サービス(ID数と社内の共有範囲を選べるもの)
目安:1IDあたり月おおよそ500〜1,500円程度(手作業による補正の有無で変わります)
営業や採用で名刺が日常的に入ってくる会社に向きます。担当者の退職で取引先情報が追えなくなる不安がある場合は、全社導入ではなく受け取る人の分だけIDを持つ形から検討するのが現実的です。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
紙の名刺をまとめてデータ化する取り込み代行
目安:1枚あたりおおよそ20〜60円程度(枚数・納期・入力項目数で変わります)
過去の名刺が箱やファイルで大量に残っている会社に向きます。社内の手入力で片付けようとすると止まりがちなので、初期分だけ外に出し、以降は日々の取り込みに切り替える進め方が取りやすいです。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
よくある質問
社員が個人のスマホアプリで名刺を管理しています。このままで問題ありますか
会社の取引先情報が個人の持ち物の中にある状態なので、退職時に引き継げない可能性があります。まず会社として共有するのか個人に任せるのかを方針として決め、文書にしておくことをおすすめします。共有する方針なら、個人アプリから会社の仕組みへ移す手順と期限を併せて決めます。
名刺管理サービスを解約したら、データはどうなりますか
契約によって異なります。一定期間後にサーバー上から削除されるのが一般的ですが、その前に自社で書き出しておく必要があります。書き出せる項目に名刺画像やメモ、タグが含まれるかは事前に確かめ、できれば試用期間中に実際に書き出して中身を開いてみてください。
移転が決まっています。名刺はどう手配すればよいですか
移転までに使い切れる枚数に絞って発注し、残りは移転後に刷るのが無駄が出にくいやり方です。移転日が確定していれば、新住所の名刺を先に用意して切り替え日を決めておくと、名刺交換の場で混乱しません。旧住所の余りは個人情報が載った紙として処分します。
名刺の発注を総務が全部引き受けると負担が増えませんか
全件を総務が代行する方法以外に、本人が発注できるが版は管理者が固定し請求だけ会社に一本化する方法があります。申し込み時に、管理者権限でテンプレートを固定できるか、発注履歴を一覧で確認できるかを確かめてください。ここができれば総務の作業は大きく増えません。