複合機のリース契約、総務が5年後に後悔しないための判断基準
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複合機のリース契約は、印刷スピードやカラー画質で決めても、あとで困りません。困るのは「途中でやめたくなったとき」と「入れ替えのとき」です。この記事を読むと、見積書のどこを見て、何を書面で確認し、稟議書にどう書けば5年後に後悔しないかが決まります。20年間で何度か入れ替えをして、そのたびに痛かったところだけを書きます。
複合機の見積は「本体価格」ではなく総額で見る
複合機の商談では、まず本体の値引き率が話題になります。ここに時間をかけても、あまり意味がありません。複合機の費用は、おおよそ次の3階建てになっています。
- 月額リース料(本体+周辺機器の分割払いに近いもの)
- カウンター料金(印刷1枚ごとの保守込み料金。モノクロとカラーで単価が違う)
- そのほか(設置費、既存機の撤去費、ネットワーク設定費、用紙、電気代)
実務でよくあるのは、月額リース料を思い切り下げてもらった代わりに、カウンター単価が高めに設定されているパターンです。印刷枚数が多い会社だと、5年分の合計では逆に高くなることがあります。
ですから、比較するときは「月額リース料×契約月数+想定枚数×カウンター単価×契約月数」で並べます。想定枚数は勘で置かないでください。いま使っている機械の操作パネルか、保守会社の請求明細に、月あたりのモノクロ・カラー枚数が出ています。過去半年分を平均して使うと、だいたい実態に近くなります。
この総額表を作るだけで、営業担当の話し方が変わります。数字で比べる相手だと伝わるからです。
契約書で先に読むのは「やめるとき」の条項
複合機のリースは、入るときの話は丁寧にしてもらえます。やめるときの話は、こちらから聞かないと出てきません。契約前に、次の4つを口約束ではなく書面で確認してください。
- 中途解約ができるか、できるなら残りリース料の扱いはどうなるか
- 契約満了のとき、どれくらい前に何を伝える必要があるか(自動更新の有無)
- 満了後に使い続ける「再リース」の条件と、おおよその金額
- 機械を返すときの撤去費・運搬費は、どちらが負担するか
リース契約は、原則として中途解約ができない前提で組まれていることが多いです。残りの期間の料金をまとめて払う形になれば、数十万円単位の出費になることもあります。移転や人員減で機械が余ったとき、ここで詰まります。
もうひとつ見落としやすいのが、保守契約とリース契約の当事者が別会社になっているケースです。リースはリース会社、保守は販売店やメーカーという形です。販売店を替えたいだけなのに、リースは残るということが起こります。契約書が何通あるのか、それぞれ相手は誰なのかを、決裁前に一覧にしておくと安全です。
台数と置き場所は、印刷枚数より「人の動線」で決める
カタログには載らない話をします。複合機の失敗は、性能不足よりも置き場所で起きます。
- 執務室の真ん中に置くと、稼働音と排熱で近くの席が不快になります
- 会議室の隣に置くと、来客中に印刷しづらくなります
- 機密書類を出力する部署から遠いと、出力物の置き忘れが増えます
複合機は奥行きと高さのほか、用紙補給や紙詰まり対応、保守作業のための前後左右のすき間が必要です。設置前に、営業担当に「保守作業に必要なすき間を含めた寸法図」をもらい、床に養生テープで枠を貼ってみてください。これで搬入経路の問題も見えます。エレベーターに載らない、扉の幅が足りないという話は、当日に判明すると本当に困ります。
台数については、拠点や階が分かれているなら、大きい1台よりも中くらいを2台のほうが業務が止まりにくいことがあります。1台だけだと、紙詰まりや故障のたびに全社の印刷が止まります。ただし台数を増やすとカウンター料金の最低額や保守の基本料が台数分かかる契約もあるため、そこは必ず確認してください。
入れ替えのときに本当に手間なのはデータと権限の移行
新しい機械が入る日、総務の仕事は搬入の立ち会いだけでは終わりません。実際には次の作業が発生します。
- 全パソコンへのプリンタドライバー(印刷用の設定ソフト)の入れ直し
- 部門別コードや個人認証カードの再登録
- スキャンした書類の送信先アドレス帳の移し替え
- 共有フォルダへの保存設定のやり直し
- 古い機械の記憶装置(ハードディスク)に残ったデータの消去
最後の項目は、情報管理の観点で必ず押さえてください。複合機はコピーやスキャンの画像を内部に保存していることがあります。返却時にデータ消去をしてもらえるか、消去した証明書を出してもらえるかを、契約前に聞いておきます。無償か有償かも会社によって違います。
ドライバーの入れ直しは、人数が多いと1日で終わりません。情報システム担当がいない会社では、販売店の作業範囲に含めてもらうか、別途費用で頼むかを見積段階で決めておきます。ここを曖昧にすると、当日「そこはお客様側の作業です」と言われて、総務が夜まで残ることになります。経験があります。
稟議は「今より安くなる」より「止まらない」で通す
稟議書で価格差だけを押すと、決裁者から「今の機械をもう少し使えないのか」と返ってきます。ここで再リースの話が出て、議論が止まります。
通りやすいのは、次の順で書く形です。
- 現状の課題(故障の回数、部品の供給が終わる時期、修理待ちで業務が止まった実例)
- 比較した案(現行機の再リース/別会社への入れ替え/台数を減らす案)
- 5年総額の比較表(リース料とカウンター料金を合算したもの)
- 契約条件の要点(契約期間、中途解約の扱い、撤去費の負担)
- 移行作業の担当と所要日数
現場からの反対も想定しておきます。よくあるのは「操作パネルが変わると覚え直しになる」「今の機械のほうが早い」という声です。導入時に販売店の操作説明を入れてもらう、よく使う設定をパネルに登録してもらう、といった対策を先に書いておくと、話が早く進みます。
そして、複数社から見積を取ることは価格交渉のためだけではありません。契約条件の書き方を比べると、自社にとって危ない条項が浮かび上がります。おおよそ2〜3社あれば十分です。
で、どうすればいいか
契約更新や入れ替えを検討するなら、次の順で進めてください。
1. いまの契約書を全部集める(リース契約書、保守契約書、覚書)。満了日と通知期限を確認します。2. 過去半年の印刷枚数を、モノクロ・カラー別に出します。3. 契約満了日のおおよそ6か月前から動き始めます。通知期限に間に合わないと自動更新になり、選択肢が消えます。4. 2〜3社に、同じ枚数条件で見積を依頼します。「5年総額」と「中途解約時の扱い」を書面で出してもらいます。5. 設置場所を養生テープで実寸どおり床に貼り、搬入経路を歩いて確認します。6. 移行作業(ドライバー、アドレス帳、データ消去)の担当区分を見積書に明記してもらいます。7. 稟議書は総額比較と契約条件をセットで出します。
複合機は、性能で失敗する時代ではなくなりました。失敗するのは契約条件と段取りです。逆に言えば、総務が事前に確認するだけで防げる部分がとても大きい買いものです。
買う前に確かめること
- 現行のリース契約書と保守契約書の満了日と解約通知の期限を確認した
- 過去半年のモノクロ・カラー別の印刷枚数を集計した
- 5年総額(リース料+枚数料金+設置・撤去費)で各社を比較した
- 中途解約時の負担額と撤去費の負担者を書面で確認した
- 保守作業のすき間を含む寸法と搬入経路を実際に測った
- ドライバー再設定とデータ消去を誰がやるか見積書に明記させた
候補になる分類
オフィス向け複合機(カウンター料金込みのリース契約)
目安:月額おおよそ1万〜4万円+枚数分の料金
月あたりの印刷枚数が多く、複数部署で共用する会社に向きます。保守や消耗品が枚数単価に含まれるため、突発の修理費が読みやすくなります。ただし契約期間の縛りと中途解約の条件が重くなりやすい形です。
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小規模拠点向けA4複合機(買い取り+必要時のみ保守依頼)
目安:1台あたりおおよそ5万〜20万円
数人規模のサテライト拠点や、印刷がほとんど発生しない部署に向きます。契約の縛りがない代わりに、故障時は自社で手配することになります。トナー代と修理費が読みにくい点を了解できるかが分かれ目です。
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印刷を減らす前提の構成(スキャン中心+印刷は最小限)
目安:5年総額でおおよそ50万〜150万円
書類の電子化を進めていて、印刷枚数が右肩下がりの会社に向きます。高速機を1台置くより、機械の等級を下げて総額を落とせることがあります。紙で回す運用が残っている部署の反対が出やすいので、先に業務側と話す必要があります。
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よくある質問
契約満了を迎えた機械は、そのまま使い続けられますか。
再リースという形で、年単位で契約を延ばせる場合があります。年額が元の月額の数か月分程度になる例もあり、短期のつなぎには有効です。ただし部品の供給期間が終わっていると修理ができないことがあるため、いつまで保守が受けられるかを先に確認してください。
リース期間は何年で組むのがよいですか。
一般的には約5年前後が多いですが、期間が長いほど月額は下がり、その分だけ身動きが取りづらくなります。移転や人員変動の予定があるなら、短めにするか、拠点移動時の取り扱いを覚書で決めておくと安全です。期間だけでなく、中途解約時の負担額をセットで確認してください。
見積を複数取ると、既存の販売店との関係が悪くなりませんか。
更新のタイミングで相見積を取ることは一般的な手続きで、伝え方を丁寧にすれば問題になりにくいです。既存の販売店にも同じ条件で提案の機会を渡すのが筋です。むしろ、条件を比べたうえで既存を選んだという記録が、稟議のときに役立ちます。