消防設備点検の委託、総務が契約前に確かめる報告義務と消火器の処分
この記事で紹介しているのは、申し込む形のサービスです。現在、アフィリエイトの提携はありません。
この記事を読むと、消防設備点検の見積を比べる前に、自社が何を頼むべきかを社内で説明できる状態になります。判断の中心は金額ではありません。「点検だけなのか、消防署への報告書の提出まで入っているのか」「点検で見つかった不良の修理費をどう扱うのか」「建物の中でどこまでが自社の負担なのか」の3点です。この3点が曖昧なまま安い見積を選ぶと、あとから追加請求と手戻りが出ます。点検そのものより、その周辺で費用と手間が増えるのが実情です。
点検は「やるか」ではなく「誰に頼むか」の判断
消火器、自動火災報知設備、誘導灯、スプリンクラー、避難器具といった消防用設備等は、設置した建物の関係者が定期的に点検し、消防署へ報告する義務があると消防法で定められています。つまり総務が決めるのは「やるかどうか」ではありません。「誰に、どこまで頼むか」です。
委託先はおおまかに三種類あります。
- 消防設備の点検を専門にしている業者。点検と報告書の作成を本業にしています。
- 電気工事や設備工事の会社が点検も請けているケース。修理まで一社で回せる反面、点検結果が自社の工事につながる関係になります。
- 入居しているビルの管理会社経由。建物全体とまとめて管理されるため楽ですが、専有部の扱いが契約書に書かれていないことがあります。
どれが悪いという話ではありません。稟議では「法令上の義務であること」と「現在どの経路で点検されているか」を最初に書くと、話が早く進みます。意外と多いのが、前任者の時代から同じ業者に自動で続いていて、契約書が社内に見当たらない状態です。
点検の回数と、消防署への報告の回数は別もの
ここが社内で最も誤解されるところです。点検の回数と、消防署へ報告する回数は一致しません。
一般に、消防用設備等の点検には、外観や機能を確認する機器点検と、実際に作動させて確かめる総合点検の二種類があるとされています。機器点検はおおむね半年ごと、総合点検はおおむね年1回という周期で語られることが多いです。一方で消防署への報告は、不特定多数が出入りする用途の建物(特定防火対象物)はおおむね年1回、事務所など非特定の用途はおおむね3年に1回とされています。
自社の建物がどちらに当たるかは、用途と規模で変わります。断定せず、所轄の消防署に建物の用途を伝えて確認するのが確実です。
総務が確かめるのは次の点です。
- 見積の「年2回」が、点検2回なのか、点検1回+報告書作成1回なのか。
- 報告書を消防署へ提出するところまで業者が行うのか、書類を渡されて自社で持ち込むのか。
- 報告年に当たらない年も、点検だけは行う前提になっているか。
「報告書は作りますが提出はお客様で」という契約は珍しくありません。提出されないまま年数が経つと、立入検査のときに説明できなくなります。
見積が割れるのは、対象設備の数え方が違うから
同じ建物で相見積を取ると、金額が倍ほど違うことがあります。値引きの差ではなく、数えている対象が違うのが主な原因です。
消防設備点検の見積は、設備の種類と数量で積み上がります。感知器の個数、誘導灯の台数、消火器の本数、消火栓の箱数、避難器具の数。現地を見ずに概算を出した業者と、図面と現地を確認した業者では、前提がずれます。
比較するときは、同じ資料を全社に渡してください。
- 消防用設備等の種類と数量がわかる一覧(過去の点検結果報告書の写しが最も確実です)。
- 建物の延べ面積と用途、入居しているフロア。
- 点検できない場所の有無(施錠された倉庫、サーバー室、役員室など)。
最後の項目は見落とされがちです。点検当日に部屋が開かず「未点検」と書かれると、報告書に不備が残り、再訪問で追加費用が出ることがあります。点検日は、立ち会い担当者と鍵の手配まで決めてから確定させてください。感知器の作動試験では警報音が鳴るため、来客予定や隣接テナントへの連絡も実務上の調整事項になります。
契約書で確かめるのは自動更新と解約予告、報告書の範囲
消防設備点検は金額が小さいため、契約書を読まずに申込書だけで始まることがあります。やめるときに詰まるのは、たいていこの型です。
契約前に次の条文を確かめてください。
- 契約期間と自動更新の有無。多くは1年ごとの自動更新です。更新を止める場合の予告期間(おおむね1〜3か月前という設定が多い)を、カレンダーに入れておきます。
- 中途解約できるか。年間料金を分割で払っている場合、途中でやめると残額を請求される設計があります。
- 業務範囲。点検/報告書作成/消防署への提出/消防計画の届出支援のどこまでが基本料金内か。
- 過去の点検結果報告書の控えを、解約時に引き継げるか。次の業者は前回の報告書を見て見積を作ります。手元に無いと、また一から現地調査になります。
- 資格者が点検するか。有資格者による点検が必要な建物かどうかで、頼める相手が変わります。
切り替えを検討する場合も、報告の期限をまたがないように、現契約の最後の点検が終わった直後に動くのが安全です。
点検で出た不良の改修は、点検料とは別請求になる
点検契約の金額は、あくまで点検の費用です。不良が見つかったときの修理や部品交換は別見積になるのが一般的です。ここを稟議で説明していないと、翌月に想定外の請求が来て経理と揉めます。
実務でよく挙がる追加費用は次のようなものです。
- 誘導灯や非常用照明の内蔵バッテリー交換。数年ごとに寿命が来ます。台数が多いと、点検料より高くつくことがあります。
- 自動火災報知設備の感知器の交換。経年で誤作動が増えます。
- 消火器の薬剤詰め替え、または本体の入れ替え。
- 受信機(火災の警報を受ける盤)の更新。これは金額が大きく、単年度の予算では収まらないことがあります。
現実的な進め方は、初回の点検結果を受け取った時点で、業者に「今年必要なもの」と「数年以内に来るもの」を分けて出してもらうことです。そのうえで、点検費用とは別に設備更新の枠を年度予算に置いておきます。毎回その場で稟議を起こすより、社内の承認が通りやすくなります。「指摘されたから直す」ではなく「いつ来るかわかっている出費」として扱うのがコツです。
消火器の処分と、ビルのテナントの線引き
古い消火器は、一般のごみとして捨てられません。国内には消火器のリサイクルの仕組みがあり、リサイクルシールを貼ったうえで、特定窓口や指定引取場所に引き渡す流れが案内されています。シールの費用は数百円程度とされることが多く、新品購入時に価格へ含まれている場合と、廃棄時に別途必要になる場合があります。
加えて、業務用の消火器には使用期限の目安(おおむね10年程度と案内されることが多い)があり、一定の年数を超えたものは耐圧性能の点検が求められる扱いです。倉庫の隅に製造年の古い消火器が残っていないか、点検のタイミングで一緒に確認しておくと手戻りが減ります。処分を点検業者に頼めるか、費用はいくらかも、見積の段階で聞いておく項目です。
ビルに入居している場合は、負担の線引きも確認します。建物全体の受信機や消火栓はオーナー側、専有部の消火器や誘導灯はテナント側、という分け方が多いものの、賃貸借契約書や管理規約に書かれている内容が優先されます。内装工事で間仕切りを増やすと感知器の追加が必要になることもあり、これは原状回復の話にもつながります。
で、総務は何から手をつけるか
順番は次のとおりです。
1. 直近の消防用設備等点検結果報告書を探します。ファイル、ビル管理会社、前任者の引き継ぎ資料のどこかにあります。これが設備一覧の代わりになります。2. 所轄の消防署に建物の用途と規模を伝え、報告の周期を確認します。電話で聞けます。3. 現在の委託契約の契約期間、自動更新、解約予告、業務範囲を読みます。契約書が見当たらなければ、現業者に写しを求めます。4. 同じ資料を渡して2〜3社に見積を依頼します。金額だけでなく「報告書の提出まで行うか」「不良箇所の改修見積を無償で出すか」を同じ様式で比べます。5. 稟議には、点検費用と、数年以内に来る設備更新の見込みを分けて書きます。法令上の義務であることと、未報告のまま放置した場合のリスクも一行添えます。
防火管理者の選任が必要な規模かどうか、消防計画を届け出ているかも、同じタイミングで確認しておくと二度手間になりません。担当者が交代すると、この一式がまるごと行方不明になりがちです。点検の年間スケジュールと契約条件を一枚にまとめ、共有フォルダに置いておくことが、次の担当者への最大の引き継ぎになります。
買う前に確かめること
- 直近の点検結果報告書の控えが社内にあるか、置き場所を確認する
- 見積の回数が点検の回数か報告の回数か、書き分けられているか
- 消防署への報告書の提出まで業務範囲に入っているかを確認する
- 契約期間と自動更新、解約予告の期間をカレンダーに登録する
- 誘導灯バッテリーなど数年以内に来る更新費用を別枠で見積もる
- 製造年の古い消火器の処分費用と引き取り方法を聞いておく
候補になる分類
消防設備点検の専門業者(点検と報告書作成が本業)
目安:年間おおよそ3万〜20万円(設備数と建物規模で変動)
事務所ビルの一室から自社ビルまで、設備の数で見積を出してもらえます。点検と報告に業務が限られるため、不要な改修提案が起きにくい一方、修理は別の会社に頼む手間が出ることがあります。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
設備工事会社への点検+改修の一括委託
目安:点検は年間おおよそ3万〜20万円、改修は別途
点検で見つかった不良の修理まで一社で完結します。誘導灯のバッテリーや感知器の交換が重なる築年数の建物に向きます。改修見積は必ず別途として扱い、金額が大きいものは相見積を取る前提にしてください。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
ビル管理会社経由の建物一括管理
目安:共益費に含まれる場合と別途請求の場合がある
テナントとして入居していて、専有部だけの点検手配が煩雑な会社に向きます。窓口が一本化される代わりに、専有部の費用が共益費に含まれるのか別請求なのかを賃貸借契約で確認する必要があります。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
よくある質問
点検をしていなくても、すぐ罰則になりますか
消防法では点検と報告が義務づけられており、怠った場合の罰則も定められています。ただし実務上は、立入検査や指導を経て是正を求められる流れになることが一般的です。罰則の有無より、未点検のまま火災が起きたときに建物の管理責任を問われる点が重いと考えてください。
小さな事務所でも業者に頼む必要がありますか
建物の用途と規模によっては、関係者自身が点検して報告できる場合もあるとされています。ただし感知器の作動試験や報告書の作成には知識が要るため、外部に頼む会社が多いのが実情です。自社で行えるかどうかは、所轄の消防署に建物の情報を伝えて確認してください。
今の業者を変えたいのですが、気をつけることはありますか
まず契約書の自動更新と解約予告の期間を確認してください。そのうえで、過去の点検結果報告書の控えを必ず手元に残します。新しい業者はこれを見て見積と初回点検を組み立てるため、資料が無いと調査費用や時間が余計にかかります。
消火器は買ってきて置くだけでよいですか
設置する本数や場所は建物の用途と面積で基準があり、点検の対象にもなります。自己判断で増減させる前に点検業者か消防署に確認してください。古い消火器は一般ごみで捨てられず、リサイクルの仕組みに沿った処分が必要になります。