オフィスの業務用エアコン更新、総務が発注前に確かめる所有者とフロン点検
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この記事を読むと、オフィスのエアコンを「いつ・誰の費用で・どこまで」入れ替えるかを、社内で説明できる形にできます。判断の中心は本体の値段ではありません。そのエアコンが貸主の設備なのか自社の資産なのか、工事費と撤去費がいくら乗るのか、点検と廃棄の記録を誰が残すのか。この3点です。順番を間違えると、貸主が直すはずの機器を自社の費用で入れ替えてしまったり、退去時に撤去費を二重に払ったりします。真夏に止まってから動くと、選ぶ余地がなくなる点も先に押さえておきます。
最初に確かめるのは「そのエアコンは誰のものか」
見積を取る前に、賃貸借契約書を出してください。オフィスの空調は、おおまかに三つの状態があります。
- ビル全体の中央空調で、貸主が管理している。個別の入れ替えという話にそもそもならず、時間外の空調運転は別料金になることが多いです。
- 貸主が設置した個別空調が部屋に付いている。この場合、故障時の修繕義務が貸主にあるのか、小修繕は借主負担と契約書に書かれているのかで扱いが変わります。金額の線引き(一定額までは借主負担、など)が特約に入っていることもあります。
- 前の入居者が置いていった「残置物」が付いている。見た目は備え付けでも、貸主は修繕義務を負わず、壊れても直さないという整理になっている場合があります。契約書か引き渡し時の覚書に記載があるはずです。
ここを確かめずに業者を呼ぶと、貸主負担で直るものを自社の費用で入れ替えてしまいます。逆に、自社で新しく付けた機器は自社の資産になり、退去時に撤去して原状回復を求められることがあります。つまり、入れる前に「出るときに外す費用が誰持ちか」まで決めておく必要があります。工事を伴う設備は、貸主の書面承諾が条件になっているのが通常です。口頭の了解だけで進めると、退去交渉で蒸し返されます。
壊れてから動くと、その夏は越せないことがある
業務用エアコンは、注文してすぐ付くものではありません。現地調査、機種選定、見積、稟議、資材の手配、工事日の調整と進むため、着手から稼働まで数週間から数か月かかることがあります。真夏と真冬は工事が立て込み、さらに延びます。
よくあるのは、七月に一台止まり、あわてて相見積を取り、工事が九月になるという流れです。その間、執務室の温度をどうするかという別の問題が発生します。スポットクーラーや大型扇風機を一時的に入れる判断が要りますが、スポットクーラーは排熱を室外に逃がさないと部屋全体はかえって暑くなります。窓やダクトの排気経路を確保できるかを先に見ておいてください。
判断材料になるのは次の点です。
- 設置年。おおむね十年を超えたあたりから、部品の保有期間が終わって修理できない機種が出てきます。
- 冷媒の種類。古い冷媒を使う機器は補充用の冷媒が手に入りにくく、修理費が高くつく場合があります。銘板(機器に貼られた表示板)で型式と冷媒を控えておきます。
- 直近の修理履歴。同じ機器を年に何度も直しているなら、修理費の累計が更新費に近づいていないかを計算します。
総務としての現実解は、全台を一度に替えないことです。号機ごとに設置年を一覧にして、古い順に年度をまたいで分けて更新する計画にすると、稟議が通りやすく、工事も分散できます。
フロン排出抑制法の点検と記録は、総務の宿題として残る
業務用エアコンは、家庭用と違って法令上の管理義務が付いてきます。フロン類を使う業務用の冷凍空調機器を使っている会社は「管理者」として扱われ、点検と記録が求められます。カタログにも見積にも出てこない話なので、入れ替えのときにまとめて整えてしまうのが現実的です。
確かめるのは次の点です。
- 簡易点検。原則として三か月に一回以上、目視で異音・油にじみ・外観の損傷などを確認する運用が求められます。誰が、どの頻度で、どの様式で記録するかを決めておきます。
- 定期点検。機器の出力の区分によって、有資格者による点検の頻度が変わります。対象になるかどうかは出力で決まるため、銘板の数値を控えて所管省庁や自治体の案内で確認してください。
- 記録の保管。点検や修理、冷媒の充塡・回収の記録は、機器を廃棄した後も一定期間の保存が求められます。担当者が替わると散逸しやすいので、機器一覧と同じ場所にまとめます。
- 廃棄のとき。古い機器を外す際は、第一種フロン類充塡回収業者による回収が必要で、行程管理票と引取証明書が回ってきます。これを受け取って保管するところまでが会社の義務です。工事業者任せにして書類を受け取り損ねると、後で説明できません。
見積を取るときに「冷媒回収と引取証明書の発行を含む」と明記してもらうと、抜け漏れが減ります。
見積は本体価格ではなく、工事条件と撤去費で比べる
同じ能力の機種でも、見積総額が倍近く違うことがあります。差が出るのは本体ではなく工事です。相見積を並べるときは、次の項目が入っているかを一枚の表にしてください。
- 既存機器の撤去、搬出、処分費と冷媒回収費
- 冷媒配管を流用するのか、引き直すのか(流用できるかは現地調査の判断です)
- ドレン(排水)配管の経路と、勾配が取れるかどうか
- 電源工事。能力が上がると電源容量や分電盤の改修が必要になることがあります
- 室外機の置き場所。屋上や狭い裏手だとクレーンや階段上げの費用が乗ります
- 天井裏の作業や、天井材の復旧費
- 作業時間帯。執務中に工事できない場合、夜間や休日の割増が発生します
- 足場、養生、駐車場代などの雑費
「一式」とだけ書かれた見積は比較できません。内訳を分けてもらってください。また、現地調査をせずに出てきた金額は、着工後に増額されがちです。調査に来た担当者が室外機置き場と搬入経路を実際に見たか、確認しておきます。
既存機器の撤去費は、入れ替え時にまとめてやると割安になりますが、退去時に自社設置分を外す費用は別に発生します。将来の原状回復見込みとして、金額の目安を稟議に一行書いておくと、後任が困りません。
リース・買い取り・補助金の使い分けと、稟議の通し方
支払い方法は三通りあります。それぞれ詰まるところが違います。
- 買い取り。資産として計上し、減価償却します。初期の支出は大きいですが、途中解約という概念がなく、自社の判断で更新できます。
- リース。初期費用を抑えられ、月額に均せます。ただし中途解約は原則できず、残リース料の一括清算を求められるのが通常です。オフィスの移転予定があるなら、移設費と残債の扱いを契約前に文書で確認してください。移転でリース物件を置いていく場合の扱いは、もめやすい論点です。
- 保守契約。本体とは別に、年次点検やフィルター清掃の契約が必要かを判断します。契約しない場合、簡易点検と清掃は社内でやることになります。誰がやるかを決めずに外すと、誰もやりません。
省エネ設備の更新には、国や自治体の補助制度が用意されることがあります。公募の時期と、契約・発注の前に申請が必要かどうかが制度ごとに違います。先に発注すると対象外になる型が多いため、使う可能性があるなら発注前に公募要領を読んでください。
稟議では、電気代の削減額を業者の試算だけで書かないことをおすすめします。自社の検針票から直近一年の使用量を出し、「この条件なら削減が見込める」という書き方にとどめます。それよりも、故障で執務室が使えなくなるリスク、修理費の累計、部品の供給状況を並べたほうが、経営には通りやすいです。
入れ替えた後に必ず出てくる、温度設定と清掃の話
工事が終わっても総務の仕事は終わりません。新しい空調になると、社内から相反する声が出ます。寒いという席と暑いという席が同時に発生し、設定温度をめぐって板挟みになります。
現実的な対処は、温度そのものではなく気流を調整することです。吹き出しの向き、風よけの部材、サーキュレーターの併用で、体感はかなり変わります。工事の際に、各席の位置と吹き出し口の関係を図で残しておくと、後から調整しやすくなります。
運用として決めておくことは次の通りです。
- フィルター清掃の担当と頻度。天井埋め込み型は脚立作業になるため、社員にやらせるかどうかを安全面で判断します。外注するなら年間費用を把握しておきます。
- リモコンの管理。設定を誰でも変えられる状態にするか、ロック機能を使うか。運用ルールを掲示しておくと、個別の苦情が減ります。
- 室外機の周囲。物置き場になって吸排気をふさぐと効率が落ちます。年に一度は見回ります。
- 機器一覧の更新。設置年、型式、能力、冷媒、点検記録の保管場所を一覧にして、担当者が替わっても引き継げる形にします。
ここまでやっておくと、次の更新時期が来たときに、調べ直す作業がほぼ要らなくなります。
買う前に確かめること
- 賃貸借契約書で、空調の所有者と修繕義務の負担区分を確認したか
- 自社設置分を退去時に撤去する費用の見込みを稟議に書いたか
- 見積に撤去・冷媒回収・引取証明書の発行が含まれているか
- 現地調査で室外機の置き場所と搬入経路を実際に見てもらったか
- 簡易点検の担当者と記録の保管場所を社内で決めたか
- 補助金を使うなら、発注前に公募要領の手続き順序を読んだか
候補になる分類
業務用エアコンの入れ替え工事(空調設備業者への発注)
目安:1台あたりおおよそ40万〜100万円程度(能力と工事条件で大きく変動)
天井埋め込み型や床置き型を更新する場合の本体と工事の一式です。現地調査をしたうえで、撤去・冷媒回収・引取証明書の発行まで含めて見積を出せる業者を選ぶと、後からの追加請求が減ります。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
スポットクーラー・業務用大型扇風機(工事までのつなぎ用)
目安:おおよそ4万〜15万円程度
更新工事が真夏にずれ込んだときや、サーバー置き場・倉庫など空調が効かない区画の一時対策に使います。排熱を室外に逃がす経路が確保できるかを先に確認してから買う物です。
業務用サーキュレーター(気流の調整用)
目安:おおよそ1万〜4万円程度
設定温度を変えずに「寒い席」「暑い席」の差を和らげたい会社に向きます。本体が安く、稟議も通しやすいため、空調更新とセットで検討する価値があります。
空調フィルター清掃・年次点検の保守契約
目安:1台あたり年間おおよそ1万〜3万円程度
天井埋め込み型が複数あり、社内で脚立作業をさせたくない会社向けです。簡易点検の記録を業者側で残してくれるかどうかで、総務の手間がかなり変わります。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
よくある質問
エアコンが壊れました。貸主と自社のどちらが直すのですか。
賃貸借契約書の修繕義務の条項と、引き渡し時の設備表を確認してください。貸主設置の設備なら貸主負担が原則ですが、小修繕は借主負担という特約が入っていることがあります。前の入居者の残置物と整理されている場合は、貸主が修繕義務を負わない扱いが一般的です。業者を呼ぶ前に、管理会社へ書面で確認するのが安全です。
フロン排出抑制法の点検は、総務が自分でやってもよいのですか。
簡易点検は、目視で異音や油にじみ、外観の損傷などを確認する内容のため、社内の担当者が行う運用も可能です。一方、機器の出力区分によっては有資格者による定期点検の対象になります。自社の機器が対象かどうかは銘板の出力を控えて、所管省庁や自治体の案内で確認してください。記録の保管は、担当者が替わっても引き継げる場所にまとめておくことをおすすめします。
リースで入れた空調は、オフィスを移転するときどうなりますか。
中途解約は原則できず、残りのリース料の一括清算を求められるのが通常です。移設できるかどうか、移設費を誰が負担するか、置いていく場合の扱いは契約書とリース会社への確認が要ります。移転の可能性があるなら、契約前にこの点を文書で押さえてください。
省エネの補助金を使いたいのですが、先に工事を発注してもよいですか。
制度によっては、交付決定の前に契約・発注すると対象外になります。使う可能性があるなら、発注前に公募要領の対象経費と手続きの順序を読んでください。公募の時期が限られるため、更新時期と合わない場合は補助金を前提にしない計画も用意しておくと安全です。
相見積の金額が倍くらい違います。安いほうを選んでよいですか。
内訳を同じ項目で並べ直してから判断してください。既存機器の撤去費、冷媒回収、配管の引き直し、電源工事、夜間割増が入っているかで総額は大きく変わります。現地調査をしていない見積は、着工後に増額されることがあります。