社内パソコンの入れ替え、リース・レンタル・買い取りを総務が決める前に
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社内のパソコンをまとめて入れ替えるとき、最初に迷うのは「リースか買い取りか」だと思います。でも、そこから考えると失敗します。先に決めるべきは、入れ替えの単位と、4〜5年後にどうやって手放すかです。この記事を読み終えると、見積もりを取る前に社内で決めておく項目と、稟議書に書くべき数字の組み立て方がわかります。
最初に決めるのは機種ではなく「何台を、いつ、どうまとめるか」
パソコンの調達で総務が消耗するのは、機種選びではありません。台数と時期がバラバラなことです。
入社のたびに1台ずつ買っていると、社内に型も年式も購入経路も違うパソコンが並びます。そうなると、故障したときの代替機がない、設定手順が毎回違う、保守の期限が全部バラバラ、という状態になります。20台程度の会社でも、これだけで年間かなりの時間を取られます。
ですから、見積もりを取る前に次の3つを決めてください。
- 入れ替えの単位(全台一斉か、部署ごとか、年式ごとに何台ずつか)
- 標準機を何種類にするか(事務用1種類+負荷の高い業務用1種類、が扱いやすい目安です)
- 予備機を何台持つか(全体の1割程度を持っておくと、故障時の貸し出しで困りにくくなります)
標準機を絞ると、キッティング(初期設定作業)の手順書が1本で済みます。ここが決まっていないと、リースでも買い取りでも同じように苦しみます。調達方式の話は、その後です。
リース・レンタル・買い取りの違いは、月額ではなく「終わり方」に出る
見積書を並べると月額の差ばかりに目が行きます。しかし実務で効いてくるのは、契約が終わるときの扱いです。
- リース:中途解約が原則できない契約が多いです。解約する場合は残りの料金相当額を一括で請求されるのが一般的です。期間満了後は返却か、再リース(安い料金での延長)か、買い取りかを選ぶ形になります。返却するなら、機械は自分のものにはなりません。
- レンタル:期間の自由度は高い代わりに、同じ期間で比べると総額は高くなりがちです。数か月だけ人が増える、といった一時的な用途に向きます。
- 買い取り:自社の資産になります。一定額を超えると固定資産として計上し、減価償却(費用を数年に分けて計上すること)の対象になります。使わなくなったときは自分で処分し、帳簿から落とす手続きも自社でやります。
どれが得かは、会社が「終わり方」に何を求めるかで変わります。台数を一定に保ちたい会社はリース、増減が読めない会社はレンタルを混ぜる、現金に余裕があり手続きを自社で完結したい会社は買い取り、という整理になります。月額の比較表だけで決めると、4〜5年後に必ず引っかかります。
見積もりに出てこない費用が、実は総額を決めている
どの方式を選んでも、本体価格の外側に費用と手間が発生します。稟議書にこれを書き漏らすと、あとから追加決裁をお願いすることになります。
- キッティング費用:OSの初期設定、アカウント作成、業務ソフトのインストール、資産管理シールの貼付など。1台あたり数千円〜1万数千円程度で見積もられることが多いです。自社でやるなら、担当者の時間を費用に換算して書いてください。
- 引き取りと初期配送:古い機械の引き取りが有料の場合があります。
- 保守・延長保証:標準保証は1年で、3〜5年に延ばすと追加費用がかかるのが一般的です。訪問修理か、送って直すかで停止時間が大きく変わります。
- 故障時の代替機:保守に代替機が含まれるかどうかは契約によります。含まれないなら予備機を自社で持つ必要があります。
- OSやセキュリティソフトの年額:本体費用とは別に、毎年出ていきます。
- 置き場所:入れ替え当日、新旧合わせて台数の2倍の箱が届きます。会議室が段ボールで埋まります。笑い話のようですが、当日の置き場所を押さえていない会社はかなりあります。
返却と廃棄で必ず詰まる ─ データ消去証明と、行方不明の1台
継続契約は、入るときより終わるときに詰まります。パソコンはその典型です。
リース満了で返却するとき、リース会社は台数と管理番号の一致を求めます。ここで「1台足りない」が起きます。退職者が持ち帰ったまま、在宅勤務で自宅にある、倉庫の奥に紛れた。台数が合わないと、その分を買い取り扱いで請求されることがあります。
もうひとつがデータ消去です。社内の個人情報や給与データが入ったまま手放すわけにはいきません。契約前に、次を確認してください。
- 消去は誰がやるのか(自社か、リース会社か、専門業者か)
- 費用は月額に含まれるのか、返却時に別請求か
- 消去証明書(データを消した記録を書面で出すもの)が発行されるか、1台ごとか一括か
- 記憶装置そのものを物理的に壊して返す場合、追加費用がいくらか
買い取りの場合は、廃棄業者の選定も自社の仕事です。産業廃棄物として処理する必要があり、証明書の保管も求められます。「知人の業者に引き取ってもらった」で済ませると、情報漏えいが起きたときに説明できません。
対策は地味です。管理台帳に「管理番号・貸与者・設置場所」を書き、退職手続きのチェック項目に返却を入れる。これだけで満了時の事故はかなり減ります。
4〜5年後にもう一度来る ─ OSのサポート終了と入れ替え時期のずらし方
パソコンの寿命は、壊れるかどうかでは決まりません。OS(基本ソフト)のサポートが終わる時期で決まります。サポートが切れた機械を業務で使い続けると、セキュリティ上の問題に加え、取引先の情報セキュリティ調査で指摘されることがあります。
ですから契約期間を決めるときは、金額だけでなく、期間の終わりがOSのサポート期限の内側に収まるかを見てください。5年リースを組んだ結果、最後の1年はサポートが切れた状態で使う、という事故が実際に起きます。
もう一点。全台を同じ月に入れ替えると、次も全台が同じ月に来ます。40台が一斉に来る年は、キッティングも予算も一気に膨らみます。可能なら、半分ずつ、あるいは3分の1ずつ年をずらして更新する形にしておくと、毎年の支出が平らになり、稟議も通しやすくなります。初回に無理をしてでもずらす価値はあります。
稟議の通し方 ─ 「安いほう」ではなく「止まらないほう」で書く
経理や経営陣は、まず総額と月額を見ます。ただ、パソコンの稟議で本当に効くのは金額の比較ではありません。止まったときにいくら損をするか、です。
稟議書には次の順で書くと通りやすくなります。
- 現状:何台が何年目か、直近1年で故障・修理が何件あったか、その都度何時間業務が止まったか
- 放置した場合のリスク:OSサポート終了の時期、取引先から求められる情報セキュリティ基準
- 方式の比較:リース・レンタル・買い取りを、月額ではなく5年間の総額(キッティング・保守・廃棄費用を含む)で並べる
- 終わり方:満了時に返却するのか買い取るのか、データ消去の費用と証明書の扱い
- 運用体制:誰が台帳を管理し、誰が初期設定をするか
社内の反対はたいてい2つです。「今のでまだ使える」と「今期は予算がない」。前者には故障で止まった時間を数字で出す。後者には、年度をまたいで半分ずつにする案を同時に出す。反対する人に代案を渡すのが、通すコツです。
そして最後に。見積もりは最低3社、必ず同じ条件(同じ台数・同じ保守年数・キッティング込み・廃棄費用込み)で取ってください。条件がそろっていない見積書を並べても、比較にはなりません。
買う前に確かめること
- 契約満了時、返却か買い取りか再リースかを選べる条件になっているか
- データ消去は誰がやり、証明書が発行されるか、費用は誰の負担かを書面で確認したか
- キッティング・保守延長・古い機械の引き取り費用が見積もりに入っているか
- 契約期間の終わりが、OSのサポート期限の内側に収まっているか
- 管理台帳に管理番号と貸与者を記録し、退職手続きに返却確認を入れているか
- 見積もりを同じ台数・同じ保守年数・同じ付帯作業の条件で3社から取ったか
候補になる分類
法人向けノートPCの標準機(販社・メーカー法人窓口経由での見積もり)
目安:1台あたり約10万〜20万円(保守年数と構成による)
台数が10台を超える会社は、量販店の店頭品を都度買うより、法人窓口で同一構成をまとめて調達するほうが管理が楽になります。保守年数の延長、キッティング、引き取りまで一本の見積もりに載せられるのが利点です。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
IT資産管理・端末管理(MDM)サービス
目安:1台あたり月額数百円〜程度
台数が30台を超えたあたりから、表計算ソフトの台帳では追いきれなくなります。誰がどの端末を持っているか、更新が当たっているかを一覧できると、リース満了時の台数照合と退職者の返却漏れが減ります。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
データ消去・機密機器廃棄の委託サービス(消去証明書つき)
目安:1台あたり約2千〜1万円程度
買い取り機を自社で処分する会社に必要です。証明書が1台ごとに出るか、記憶装置の物理破壊まで対応するかを契約前に確認してください。リース返却の場合は、同じ内容がリース契約に含まれているかを先に見ます。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
USB-Cドッキングステーション(有線LAN・映像出力つき)
目安:約8千〜2万円
ノートPCに統一する会社は、座席側にドックを置くと出社時の抜き差しが1本で済みます。全席に配る前に1台試して、自社の機種で有線LANと外部モニターが安定して動くかを確かめてください。
よくある質問
リースと買い取り、結局どちらが安いのですか。
同じ期間で単純比較すると、金利相当分が乗るリースのほうが総額は高くなるのが一般的です。ただしリースには保守や満了時の引き取りが含まれる場合があり、そこまで含めた比較が必要です。現金の出方と、廃棄の手間を自社で持つかどうかで判断してください。
途中で人が減ったら、リース台数を減らせますか。
多くのリース契約では、途中で台数だけ減らすことはできません。解約扱いとなり、残期間分を一括で請求されるのが一般的です。増減が読めない分は、レンタルや短期契約で吸収する設計にしておくと安全です。
退職者が使っていたパソコンは、初期化して次の人に渡せばよいですか。
アカウントの削除だけでは不十分です。業務データとログイン情報が残らないよう、手順を決めて記録してください。台帳に「誰から誰へ、いつ、どんな処理をして渡したか」を残すと、後日の調査で説明できます。