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顧問税理士との契約、総務・経理が結ぶ前に確かめる業務範囲と決算報酬

2026-10-30 税理士顧問契約経理契約・解約中小企業の総務

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この記事を読むと、顧問税理士との契約を「月額いくら」ではなく「年間でいくら、何をやってもらうか」で社内に説明できるようになります。判断の中心は3つです。月額顧問料にどこまで含まれるか、記帳(帳簿への入力)を誰がやるか、そしてやめるときにデータと過去の申告書を持ち出せるか。見積の金額だけを並べて比べると、決算報酬や年末調整が別請求で後から積み上がり、稟議の数字が合わなくなります。契約する前に確かめるのは、次の点です。

月額顧問料に何が入っているかを、先に5つに分ける

税理士事務所の見積は、同じ「月額3万円」でも中身がまったく違います。比べる前に、業務を次の5つに分けてください。

  • 月次対応(毎月の帳簿チェック、試算表の作成・説明、税務相談)
  • 決算と法人税等の申告(決算書の作成、税務申告書の作成・提出)
  • 年末調整と法定調書・給与支払報告書(毎年12月〜1月の仕事)
  • 記帳代行(領収書や通帳から会計ソフトへ入力する作業)
  • その他(償却資産申告、消費税の届出、株主総会議事録のひな形提供など)

多くの事務所では、月額顧問料に入るのは1番目だけで、決算報酬は別建てです。決算報酬を「月額の数か月分」として案内する事務所もあれば、売上規模で決める事務所もあります。金額の決め方は事務所ごとに幅があるので、見積の段階で「年間の総額はいくらになりますか」と聞いて、1年分の合計で比べてください。

稟議書には月額ではなく年間総額を書きます。月額だけを書いて承認を取ると、決算月に想定外の請求が出て、経理と総務のどちらの読み違いかという話になりがちです。

記帳を自社でやるか代行に出すかで、費用も手間も変わる

顧問料が大きく動くのは、記帳代行を含めるかどうかです。ここは費用だけで決めない方が安全です。

記帳代行に出す場合、毎月の領収書・請求書・通帳のコピーをまとめて渡す作業が自社に残ります。「渡すだけ」と思われがちですが、実際には月に1回の仕分けと郵送(またはスキャン)が発生し、担当者が休むと止まります。また、入力は事務所側なので、自社の試算表が出てくるのは翌月以降になりやすく、資金繰りの判断には遅れることがあります。

自社で入力する場合は、クラウド会計ソフトを使って銀行明細を自動で取り込み、税理士が画面を共有してチェックする形が一般的です。この形にすると顧問料は抑えやすい一方、入力ルール(勘定科目の決め方、立替精算の扱い)を最初に決めないと、毎月の修正でかえって手間が増えます。

確かめるのは次の点です。

  • 会計ソフトの契約名義は自社か、事務所か
  • 自社の担当者が辞めたとき、入力を一時的に代行してもらえるか、その場合の追加料金
  • 電子帳簿保存法に対応した保存をどちら側で行うか

やめるときに詰まるのは、会計データと申告書の控え

継続契約は、入るときより終わるときに詰まります。税理士の変更で実際に困るのは、金額ではなく引き継ぎです。

よくあるのは、会計ソフトのライセンスが税理士事務所の名義になっているケースです。契約が終わると自社は画面を開けなくなり、過去の仕訳データを見られません。契約前に「解約時にデータをどの形式で受け取れるか」を聞いてください。印刷したPDFだけでは、次の事務所が取り込めないことがあります。

もう一つは、電子申告(e-Tax・eLTAX)の利用者識別番号です。事務所が自社に代わって取得・管理していると、どのIDで申告していたか自社の誰も知らない、という状態が起きます。番号とパスワードの管理者を契約時に決め、書面に残しておくと安全です。

  • 過去の決算書・申告書の控え(何年分を、いつ返してもらえるか)
  • 預けている原本(通帳のコピー、契約書、領収書の綴り)の返却方法
  • 解約の申し出は何か月前か、年の途中でやめた場合の精算

変更のタイミングは、決算と申告が終わった直後が無難です。期の途中で切り替えると、新しい事務所は期首からの帳簿を点検し直すことになり、追加費用が出やすくなります。

税務調査の立会いと、追加報酬の線を引いておく

顧問契約の見積には出てこないのに、実際には発生しうる費用があります。代表が税務調査の対応です。

多くの事務所では、調査の立会いは顧問料に含まれず、日当や時間単位の報酬が別に設定されています。調査が複数日になることもありますし、調査後に修正申告が必要になれば、その作成報酬が加わる場合もあります。「調査のときはどういう費用になりますか」と、契約前に一度聞いておくと、後で揉めません。

あわせて確かめたいのが、相談のやり方です。訪問は年に数回で、ふだんはメールやチャットという事務所が増えています。「相談は何回まで無料か」「回答までの目安は何営業日か」「窓口は所長か、担当スタッフか」を確認してください。担当者が頻繁に代わる事務所だと、そのたびに自社の事情を説明し直すことになります。

社内の反対が出やすいのもこの部分です。経営側は「安いほうでいい」と言い、経理は「質問にすぐ答えてくれる人がいい」と言います。稟議では、金額の差を書くだけでなく、相談の頻度と返答の早さを条件として並べて比較すると、話が前に進みます。

社労士・給与計算との役割分担を決めてから申し込む

税理士に頼める仕事と、税理士には頼めない仕事があります。ここを曖昧にすると、同じ作業を二重に外注したり、どちらも手を付けていない空白が生まれたりします。

  • 税務の代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の領域です。
  • 就業規則の作成・届出、社会保険や雇用保険の手続き、助成金の申請代行などは社会保険労務士の領域です。
  • 給与計算そのものは、税理士事務所が受けていることも、社労士事務所が受けていることもあります。
  • 年末調整は税務の仕事なので税理士が担当することが多い一方、給与データを持っているのが社労士側ということも起こります。

毎年12月に「年末調整の資料は誰に渡すのか」で止まる会社は珍しくありません。契約前に、給与計算・年末調整・社会保険手続きの3つを表にして、どちらの事務所が担当するか、自社で持つかを決めてください。その表をそのまま稟議の添付資料にすると、経営に説明しやすくなります。

登記(役員変更など)は司法書士、紛争は弁護士の領域です。顧問税理士から専門家を紹介してもらえるかどうかも、聞いておくと役に立ちます。

で、どう進めるか:比較の手順と社内の通し方

申し込む前の進め方を、順番にまとめます。

1. 今の支払いを1年分集計します。顧問料、決算報酬、年末調整、記帳代行、その他の実費を分けて書き出します。比較の土台はここです。

2. 自社がやることと、任せることを決めます。記帳を自社でやるのか、領収書を渡して任せるのか。ここを決めずに見積を取ると、各事務所が違う前提で金額を出してきて比べられません。

3. 同じ条件で複数から見積を取ります。「年間総額」「決算報酬の決まり方」「調査立会いの費用」「解約予告の期間」「解約時のデータの渡し方」を同じ質問として投げると、粒度がそろいます。

4. 契約書と重要事項の説明を読みます。自動更新の有無、値上げの通知時期、担当者変更の扱いを確認します。

5. 稟議には、年間総額の比較表と、役割分担の表、解約条件の3点を添えます。金額が上がる提案なら、どの作業が自社から減るかを書くと通りやすくなります。

切り替えを決めたら、現在の事務所への連絡は、申告が終わってからが無難です。感情的なやり取りは引き継ぎを遅らせます。淡々と、データと書類の返却日を決めるところから始めてください。

買う前に確かめること

  • 年間総額(顧問料+決算報酬+年末調整)で比べているか
  • 会計ソフトの契約名義が自社になっているか確認したか
  • 解約時に仕訳データをどの形式で受け取れるか書面にあるか
  • e-Taxの利用者識別番号を自社でも把握できているか
  • 税務調査の立会い費用と修正申告の報酬を聞いたか
  • 給与計算・年末調整・社保手続きの担当を表にしたか

候補になる分類

月次訪問型の顧問契約(毎月の試算表説明つき)

目安:月額2万〜6万円程度+決算報酬(事務所により幅あり)

数字を見て経営判断をしたい会社や、経理担当が1人で相談相手がいない会社に向きます。月次で帳簿の誤りが見つかるため、決算期にまとめて修正する手間が減ります。その分、費用は高めになります。

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記帳は自社、決算・申告中心の契約(クラウド会計連携型)

目安:月額1万円台〜+決算報酬(事務所により幅あり)

経理担当がいて日々の入力を自社で回せる会社に向きます。顧問料を抑えやすい一方、入力ルールの整備と、担当者が辞めたときの代替をどうするかを先に決めておく必要があります。

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記帳代行込みのパッケージ契約

目安:月額3万〜8万円程度+決算報酬(仕訳数により変動)

経理の専任者がおらず、総務が兼任している会社に向きます。領収書や通帳を渡せば帳簿ができますが、試算表が出るまでに時間がかかる点と、解約時にデータをどの形式で返してもらえるかを確認しておきたい形態です。

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よくある質問

税理士を変えるなら、いつが動きやすいですか。

決算と税務申告が終わった直後が無難です。期の途中で切り替えると、新しい事務所が期首からの帳簿を点検し直すことになり、追加費用や作業の重複が出やすくなります。解約予告の期間も契約書で確認してください。

給与計算は税理士と社労士のどちらに頼むべきですか。

どちらの事務所も給与計算を受けていることがあります。判断の目安は、社会保険の手続きや就業規則の相談をどこに置くかです。労務の相談先と給与データの置き場所を同じにすると、資料のやり取りが一度で済みます。

顧問料を下げたいと言われたら、どこを削れますか。

削りやすいのは訪問回数と記帳代行です。ただし記帳を自社に戻すと、入力の人手と確認の時間が自社に移ります。下げた金額と、自社に増える作業時間を並べて稟議に出すと、話が具体的になります。

税務調査の費用は顧問料に含まれますか。

別料金としている事務所が多く、日当や時間単位で設定されていることがあります。修正申告が必要になれば、その作成報酬が加わる場合もあります。契約前に費用の決め方を聞いておくと、後の説明が楽になります。

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