制服・作業着の契約、総務がレンタルと買い取りを決める前に
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制服や作業着の契約は、月額の単価だけで比べると後で合いません。費用が動くのは、人が増えたとき、辞めたとき、そして業者を替えるときです。この記事を読むと、レンタルにするか買い取りにするかを何で決めるか、契約書のどこを先に見るか、就業規則に何を書いておくかが決まります。値段の安さより、やめるときと入れ替わるときの手間で判断する話です。
レンタルか買い取りかは、洗濯を誰が負担するかで決まる
制服の調達は大きく二つです。ひとつは業者から借りて定期的に回収・洗濯してもらうレンタル(リネンサプライ=布製品の貸出洗濯サービス)。もうひとつは自社で買い取り、洗濯は各自またはクリーニングに出す方式です。
判断の起点は価格ではなく、汚れ方です。油や粉、食品、血液や体液が付く現場では、家庭で洗わせる前提そのものが無理になります。洗濯機の詰まり、色移り、家族からの苦情が出やすく、結局は会社が洗濯代を出すか、レンタルに切り替えることになります。
一方、事務職や接客のポロシャツ・シャツ程度で、汚れが軽く枚数も少ないなら、買い取りのほうが総額は落ち着きやすいです。
比べるときは、次をそろえて並べます。・1人あたり何着持たせるか(洗濯の回転を含めて)・洗濯の頻度と、誰が費用を持つか・名入れ(社名刺繍・プリント)をするか・年間で何人入れ替わるか
この4つが決まらないうちに見積りを取ると、業者ごとに前提が違う紙が並ぶだけで、比較になりません。
レンタル契約で先に見るのは最低枚数と途中解約の精算
レンタルの見積りは「1着あたり週いくら」「1人あたり月いくら」で出てきます。安く見えますが、契約書側に条件が付いているのが普通です。契約前に確かめるのは次の点です。
- 最低契約枚数と最低契約期間(何枚未満は受けない、何年未満は解約に精算が付く)
- 途中解約したときの精算方法(残期間分の請求か、未償却分の買い取りか)
- 社名入りの品は再利用できないため、契約終了時に買い取り義務が残るか
- 紛失・破損時の弁償額と、その判定は誰がするか
- サイズ変更や追加発注の手数料、納期(数週間かかることがあります)
- 回収・配送の曜日と、繁忙期に増枚したいときの扱い
よくあるのは、人数が減ったのに枚数が減らせず、最低枚数分を払い続ける形です。増員より減員に弱い契約だと覚えておくと読み方が変わります。
もうひとつ聞かれにくいのが、汚れ物の一時置き場です。回収は週1回程度が多く、その間の汚れた作業着をどこに置くかで現場が荒れます。回収袋の置き場、臭い、鍵のかかる場所かどうかを、契約前に現場と決めておきます。
買い取りは廃番とサイズ在庫が後から効いてくる
買い取りの弱点は、同じ物が数年後に買えないことです。生地や色番、型そのものが入れ替わり、追加で買った分だけ色味や襟の形が違う、という状態が起きます。人数の多い現場では、写真に写ったときの見え方まで問題になります。
買い取りを選ぶなら、確かめるのは次の点です。・そのモデルが何年続いているか、後継が出たとき生地は同じか・追加で1着だけ買えるか(最小発注数の縛り)・色番・サイズ表記を社内の台帳に残す運用にするか・予備を何着ストックするか、その置き場とサイズの偏り
予備の持ち方は悩みどころです。多めに持てば入社当日に渡せますが、使われないサイズが箱で残ります。少なめにすると、入社初週は私服対応になり、現場から苦情が出ます。年間の採用人数から、よく出るサイズだけ数着持つ、という折り合いが現実的です。
名入れをする場合は、刺繍・プリント代が1着あたり別途かかり、名前入りだと他人に回せません。名前は入れず、社名までにとどめる会社が多いのは、この使い回しのためです。
貸与か支給かを決めないと、退職時の回収で揉める
制服を「貸している(貸与)」のか「あげている(支給)」のかを、文書で決めていない会社は少なくありません。ここが曖昧だと、退職時に返ってこず、レンタル業者への返却枚数が足りない、という詰まり方をします。
決めておくのは次の点です。・貸与なら、退職時に返却すること、返却先と期限・クリーニングして返すのか、そのままでよいのか・紛失・汚損したときの扱い・洗濯の費用を誰が負担するか
これを就業規則か制服貸与規程に書き、入社時に貸与品の受領書(何を何着渡したかの記録)をとります。台帳がないと、そもそも何着渡したかを会社側が示せません。
注意が必要なのは、返却されないときに給与から差し引く運用です。賃金からの控除は法律上の制限があり、労使協定や本人の自由な意思による同意など条件が関わります。就業規則に一行書いたから引ける、という単純な話ではありません。社労士に文面を見てもらうのが無難です。
会社が着用を義務づけている制服の洗濯を業務として求めるなら、その費用の負担も合わせて整理しておきます。
経理と税の扱いは「私服に流用できるか」で変わる
制服代の扱いは、経理と税の両方に関わります。細かい判定は税理士の領域ですが、総務が押さえておく考え方はそう多くありません。
ポイントは、その衣類が職務上必要で、着用が義務づけられ、私服として使いにくいかどうかです。社名が入った作業着や、その職場でしか着ないものは、会社の費用として処理しやすい部類に入ります。逆に、無地で日常でも着られる上着を各自に渡す形だと、現物で給与を払ったのと同じ扱いを問われる余地が出ます。金額が大きい場合はとくに、事前に税理士へ確認しておくと安心です。
資産計上か消耗品かは、1着あたりの単価と社内の基準で分かれます。レンタルなら月々の費用として平準化できるため、初期のまとまった支出を避けたいときは選びやすい方式です。
稟議を書くときは、月額ではなく3年程度の総額で並べます。・レンタル:月額×契約期間+名入れ+想定弁償+終了時の買い取り・買い取り:初期購入+年間の補充+洗濯費用+廃棄費用
洗濯と廃棄を入れないと、買い取りが不当に安く見えます。ここを外した稟議は、翌年の追加予算で説明を求められます。
切り替えは採寸期間が重なる。先に日程を引いてから動く
業者を替えるとき、いちばん見落とされるのが移行期間です。新しい業者は採寸から製作・納品までに数週間から2か月程度かかることがあり、その間も旧業者の制服を着続けます。つまり、両方に払う期間が生まれます。
段取りは次の順に引きます。・現契約の解約予告期限と最低契約期間を確認する(予告は数か月前という例が多い)・終了時の精算条件と、返却できない分の請求額を先に見積もる・新業者の採寸日を現場のシフトに合わせて確保する(全員そろう日が取れない会社が多い)・旧制服の回収日と、新制服の着用開始日を1日で切り替える・旧制服の廃棄方法を決める(社名入りは裁断など、そのまま捨てない)
社名入りの制服がそのまま古着として流れると、名乗られる側の会社が困ります。廃棄は裁断や溶解証明を含めて業者に依頼するか、社内で断裁してから処分します。
まとめると、まずやることは一つです。現契約の解約予告期限と最低枚数を確認し、年間の入退社数を数える。この2枚の紙がそろえば、レンタルと買い取りのどちらが自社に合うかは自然に決まります。
買う前に確かめること
- 現契約の解約予告期限と最低契約期間を書面で確認したか
- 最低契約枚数と、人数が減ったときに枚数を減らせるかを確認したか
- 途中解約の精算方法と、社名入り品の買い取り義務の有無を確認したか
- 紛失・破損時の弁償額と、サイズ変更・追加発注の手数料と納期を確認したか
- 貸与か支給かを就業規則に書き、受領書と貸与台帳の運用を決めたか
- 汚れ物の一時保管場所と回収曜日を、現場と一緒に決めたか
候補になる分類
ユニフォームレンタル(リネンサプライ)契約
目安:1人あたり月2,000〜5,000円程度(枚数・回収頻度で変動)
油汚れ・食品・粉じんなど、家庭洗濯に向かない現場を持つ会社に向きます。洗濯と補充を外に出せる代わりに、最低枚数と契約期間の縛りが付くのが前提です。人の入れ替わりが多い会社ほど、追加・返却の手数料を先に確認してください。
これは申し込む形のサービスです。提携が決まりしだい、ここに申込先を載せます。
買い取り前提の定番作業服・ポロシャツ(数年続いている継続モデル)
目安:1着4,000〜12,000円程度
事務や軽作業が中心で、汚れが軽く枚数も少ない会社に向きます。追加購入のしやすさを優先し、色番とサイズを台帳に残す運用がセットになります。廃番になったときの代替があるかを購入前に見ておくと安心です。
名札・ネームホルダーなどの付帯品
目安:1個100〜500円程度
制服本体と違い、破損や紛失が日常的に起きる消耗品です。名前を刺繍で入れず名札で運用すると、退職時に本体を使い回せます。まとめ買いしやすい汎用品を選ぶほうが、運用が続きます。
汚れ物の一時保管用品(回収袋・仕分けラック)
目安:1枚500〜3,000円程度
レンタルの回収は週1回程度が多く、その間の置き場を決めていない現場が荒れます。袋と置き場所を先に用意しておくと、臭いや紛失の苦情が減ります。地味ですが、契約より先に決めたい部分です。
よくある質問
制服の洗濯代を社員の負担にしてもよいのですか。
会社が着用を義務づけている制服の洗濯を業務として求める場合、費用の扱いは整理が必要です。負担の考え方や就業規則への書き方は、社労士に文面を確認してもらうのが無難です。実務上は、汚れが強い現場ではレンタルに切り替えて会社負担にそろえる例が多く見られます。
退職者が制服を返してくれません。給与から引けますか。
賃金からの控除は法律上の制限があり、労使協定や本人の自由な同意といった条件が関わります。就業規則に書いてあるだけで一律に引ける、という単純な話ではありません。まずは貸与時の受領書と台帳を整え、返却期限と連絡先を入社時に伝える運用に寄せてください。
レンタルと買い取り、どちらが安く済みますか。
枚数、洗濯の必要度、年間の入退社数で逆転します。比べるときは3年程度の総額で、洗濯費用と廃棄費用、終了時の買い取り義務まで入れてください。洗濯と廃棄を入れないと買い取りが安く見え、翌年の追加予算で説明を求められがちです。
古い制服はそのまま捨ててよいですか。
社名入りのものは、古着として流れると名乗られる側が困ります。裁断してから処分するか、証明を出せる処分業者に依頼するのが安全です。切り替えの稟議に、この処分費用も1行入れておいてください。